今年いっぱいで芸能活動を休止します、皆さまにはお世話になりました 黒澤彩紀

舞台女優の他、男女5人のStar(シュタール)というユニットで歌を歌っている黒澤彩紀(くろさわさき)です。地元北海道から上京し、約5年間、芸能の世界で頑張ってきましたが、来年1月より、飲食系の会社に就職するのをきっかけに、一旦活動を休止しようと考えています。

最初に女優になろうとしたきっかけから教えてください

もともとタレントになりたくて、地元にある俳優の専門学校に2年間通いました。その時の授業の一環で舞台があって、何本か続けるうちに舞台って面白いなって思うようになりました。専門学校の卒業が近づいた頃、鳥居みゆきさんが原作・主演の舞台公演『東京奇人博覧会』のオーディションがあることを知って、それに応募することにしたんです。この公演は、新宿のスペースゼロという500人くらい入る大きな舞台で、これまで舞台経験が無かった私にとって、無謀な挑戦だったのかもしれません。

そんな私が、北海道地区のオーディションを勝ち抜き、さらに東京でのオーディションも勝ち抜いて、合格してしまったんです。オーディションの内容は台本とか特になくて、課題が与えられて、それを演じるというエチュードが中心でした。多くの人は、自分をいかに目立たせようかと自分が自分がという感じで演技をしていたんですが、私はメインの人を目立たせるためには自分には何ができるんだろうという考えで、空間を埋めるような芝居をさせていただきました。これまで全く舞台経験が無かったことも審査員の方には新鮮に映り、このような私の演技が評価されたのかもしれません。

初めての舞台『東京奇人博覧会』はいかがでしたか

この作品は、第二次世界大戦中の東京、庶民の人気を集める見世物小屋『東京奇人博覧会』を舞台とするブラックエンターテイメントで、私は見世物小屋のちょっと抜けたアイドル役で出演させていただきました。セリフは殆どなかったのですが、舞台上で精一杯の踊りを披露しました。主役が鳥居みゆきさん、他にも一線で活躍する河合龍之介さんや長友光弘(響)さんなど、有名な方が出演する大舞台で、そんな凄い人たちと共演できるっていうだけで気持ちが高揚しました。全部で9公演あったのですが、あっという間に過ぎ去ったという感じがしました。

5年間で多くの作品に出演したと思いますが、その中で印象に残る作品を教えてください

そうですね、私にとって一番印象に残っている作品といえば、2016年に自ら主宰した舞台公演です。私はこの当時、事務所に所属したばかりだったのにかかわらず、社長に、「私は舞台でやっていきたい、そして、主宰舞台をやってみたい。」と訴えたんです。すると「じゃあ、お金貸してあげるから、一回主宰舞台やってみなよ。」っていう話になって、これが実現することになったんです。社長はほぼ私にまかせてくれて感謝しかありませんでした。ただ、この時点ではとにかくやってみたいという思いしかなくて、何も明確なものは決まっていなかったので、今思えば凄い決断力だったと思います。これまで舞台を主宰したことがない私にとって、一人でやりきれるかどうか不安もありました。そこで、かつて共演させていただいた中で自ら脚本とかも手掛けている方に相談をしたんです。私は以前その方の脚本の舞台で主演として出させていただいたこともあり、いつかは一緒に主催舞台ができたらいいなっていう思いがありました。それで自分の作品と彼女の作品の2本をオムニバス形式で上演しようということになったんです。

主演舞台での作品はどんなものだったのですか

私の手掛けた作品は、ちょっとホラー的な要素が混じったファンタジーっぽいストーリーです。人形の女の子が自分を所持してくれてる女の子と一緒にいたいがために、その子を人形の世界に連れ込んで自分のものにしてしまおうというものです。人形にとっては、女の子が小さかったときはとっても大切にしてくれていたのに、大きくなったら放置してしまうというのが耐えられなかったのでしょう。最後には女の子を殺めてしまいます。この作品は、浅草で上演し、出演者は専門学校の同級生と後輩、そして高校の同級生など4人で私は裏方に徹したため出演しておりません。全部で5公演行いましたが、ほぼ満席となり、盛況のうちに終了しました。初めての主宰舞台、しんどい部分はありましたが、この作品を通じて、どちらかというと私は役者より裏方というか作り上げる側、誰かを育てるという方が好きだなって思いました。

休止前最後の舞台となった『雪のかけら』についてお話しください

今年の3月に、『銀河旋律』という舞台に出演した際、そこで出会った方から11月の舞台のヒロインのオファーをいただきました。これが、休止前最後の舞台となった『雪のかけら』でした。私の役は、小さな町の本屋さんの店長です。結婚しているんですが、旦那からの束縛が強くて別居中、そんな状況の中、高校生の男の子と恋に落ちるというお話です。

その時の高校生役の男の人が、私と同い年なのに、役の上では私が27歳、その方が17歳、2人ともちょっと童顔だし、どうやったら年の差が表現できるだろう、どうやったらちゃんと恋しているように見えるんだろう、1時間という短いお話の中で、出会って、恋に落ちて、ちょっと仲たがいして、またうまくいってというのを表現しなくてはならず、役作りでいろいろ悩みました。私は、実際に高校生と戯れることもなければ、街の小さな本屋に行くことも殆どないし、もちろん結婚したことも離婚したこともないので、すごい頭を使ったし、今までで一番心がしんどかった役でした。でもこれで最後なんだという気持ちが凄く強かったので、終わった瞬間、相手役の男性の胸の中で号泣してしまいました。終わっちゃったなあみたいな感じでした。最後の舞台がこの『雪のかけら』で良かったなって思いました。

それでは音楽ユニットStarの活動について教えてください

はい、Starは2016年10月に結成した5人組のダンスボーカルユニットです。『Star』というユニット名はドイツ語のトランプのエースという意味です。なので、メンバーもトランプに因んだ名前を持っており、スペード、ダイヤ、ハート、クラブ、クイーンの5人編成で、全員役者か元役者の男性2人と女性3人で構成されています。結成して2年が経ち、それを記念して12月12日(水)に池袋レッドゾーンで主催ライブ『Starソリティア』を行います。結成2年記念というよりは、今回をもってしばらく活動を休止するので、その区切りという意味の方が強いのかもしれません。5人はもともと知り合いだったこともありますが、みんなお酒が好きなんで、飲み友達でもあるんですよ。1ステージ15分から20分と短い時間でしたが、アニソン、ボカロ、特撮、J-POPなど、いろんなジャンルの歌を歌わせていただきました。

今年いっぱいで芸能活動を休止するとのことですが、それについてお話しください。

今年いっぱいで舞台を辞め、Starでのライブ活動も休止して、来年以降は就職してこの世界からしばらく身を引く形になります。勢いで辞めるって言ったのはいいんですが、今後毎日同じ仕事のルーティーンだと耐えられないだろうなっていうのに最近気づいてしまい、本当に辞めてしまうのは耐えられないと思うので、しばらくはお休みさせていただいて、落ち着いたら何年か後にまた舞台を主宰してみたいなって思っています。振り返ってみれば、役者人生、月日が経つのはあっというまだったなあと感慨深い気持ちです。私はどちらかというと作るほうが好きだなって思っているので、しばらくは休みの日にいろんなシナリオを書き溜めておこうと思います。役者については、どうしても私がいいってお声掛けがあれば出たいです。辞めることに対して結構皆さんが惜しんでくれているので、私の現在の状況を理解していただいて、それでもいいよっていう場合には、やるかもしれないです。でもなかなか時間が無いし、何年か先になるかもしれません。

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