セカンドアルバム『百花辞典』には、音楽史や、百山節をふんだんに詰めました! 百山月花

お久しぶりです、昨年12月の誕生日にセカンドアルバムをリリースしたそうですね。

注)自己紹介など、前回のインタビュー内容は、こちらをご覧ください。

ご無沙汰です!2016年12月18日、25歳のバースデーワンマンの日に、2枚目のフルアルバム『百花辞典』をリリースしました。ファーストアルバムの『百色-momoiro-』は、百山月花として活動して1周年を控えるタイミングで出した初めてのアルバムでした。収録したい曲が明確に決まっていて、あの時点での私のベストアルバムだったんですよ。私の成長を見てほしい、幅を見てほしいという想いからタイトルも決めました。 じゃあ、セカンドアルバムは、何を見て欲しいのか、どんな曲を収録したら2枚目のアルバムとして受け入れられるかってずっと悩んでいました。シングルも出しながらアルバムを出してライブに出て…って、ある程度私の中でも、寄り添って応援してくれるファンの方の中でも百山月花のイメージが出来てきたはずで、次はどんなことをしてくれるんだろうっていう期待値が単純に2倍になっていると思うんですよ。それにどう応えるかっていう葛藤でした。初年度はある意味何をしても正解だし。例えばメジャーデビューしたアーティストのファンから、「インディーズの方が良かった」「デビューアルバムが1番」って声ってよく聞きませんか?そういう事って少なくないと思うんです。実は私もそう思われてしまうかなって不安が『百色-momoiro-』をリリースしてから1年間ずっとありました。そんな気持ちがあって今回は、自分を客観的に見てどんな曲を入れたいかなって考えながら曲を選びました。


今回新曲が盛り沢山なんですけど実は、学生の時のバンドの曲だったり(実はごりごりのメタルバンドだったんです…)、ファーストアルバムに入れようか最後まで迷って、結局入れられなかったけど、どうしても入れたくてベンチを温め続けてきた優秀な曲、初めて作った10年前の曲…などなど思い出を数多く収録しました。ファーストアルバムでアコースティックなイメージが多い中、今回はギターロックが中心ですね。初見では私のイメージとはかけ離れてきこえるけど、私を作ったルーツのようなもの…、全部違う色だけど、少しづつ歌詞やフレーズに私っぽいところが散りばめられていて…。それを紡いでいくと去年までの私が現れるようなアルバムにしました。

アルバムのタイトル『百花辞典』には、どんな意味が込められているんですか。

現在は音楽活動しているんですけど、学生の時は国語が大好きで、ずっと国語の先生になりたかったんですよ。前回のインタビューでもお話ししたんですけど、歌詞の書き方にはこだわりがあって、登場人物の心情を表すために、ひらがな、カタカナ、英単語を使い分けたり、漢字をもじって造語にしたりっていうことを随所でやっています。私の中ではテストを作っているっていう感覚があって、このような表現をしているのには必ず答えがあって、それを歌詞の中に見つけて欲しいなって。つまり、私の音楽史(事典)や、登場人物の有効的な表現(字典)、そして私好みに推敲された要するに百山節(辞典)などなど、複数の意味を込めました。自転なんて言葉も良さそうですね(笑)だから凡そ私の活動は、音楽をしているというより国語をしているって認識なんです。そんな想いから『百花辞典』としました。

それでは、セカンドアルバムに収録されている曲について、それぞれ簡単に紹介してください。

1.ねこのきもち
以前飼っていたねこの「トラくん」を思い浮かべながら書いた歌詞で、高校1年生の時に、ギターをはじめて、最初に作詞作曲した曲なんです。私が小学生くらいの時にもらわれてきた猫なんですけど、私が両親に怒られてしゅんとなっていると、私が泣き止むまで隣で待っていてくれたりとか…、とにかく凄くいい子だったんです。私にとっては第3の親のような子でした。この曲は、その猫が死んじゃって2年後くらいに作ったものです。あの時の私はこうして音楽活動をするとは思っていませんでしたけど、初めて作詞作曲をしようとしたとき、ふと思ったのがやっぱりトラくんのことでした。CDのSpecial Thanksにも名前を入れてあるので、ぜひ探してみてくださいね!

2.You’re unanimous idol
私が憧れている女性について書いた歌詞です。憧れの人って誰しもが偶像崇拝の様で、絶対的に強くて優れていて誰にも劣らない存在だと思うんですけど、その人だって人間だし、ヒトの子だし、「もうやだ!」って思うこともあれば、「逃げたい」って思うこともあると思うんです。そういうところもひっくるめて、人間の貴女が好きだから、貴女もそんなに悩まないで人間らしくいて欲しいなと言いながら…私も悩みがゼロなわけではないし、いろいろ考えているんだよと、ちょっと私にも重ねつつ、やっぱり尊敬しているんだよという独白のような曲です。尊敬する人は誰か、どこかにヒントを隠してるので、ぜひ探してみてください。

3.初恋トレイン
私の母が少女漫画好きで、家には少女漫画がいっぱいあったんです。それらの少女漫画みたいなストーリーですね。少女漫画ってそれこそ心が溢れているっていうか、心情描写ばっかりですよね。少年漫画にはあまりないような心だらけで、バトルもボスも不在のままストーリーが展開されていくところに興味を持っていたんです。だってページ見開きで「トクン…」だけとかって少女漫画でしかあり得ないですよね!そんな確立されているけど唯一無二の少女漫画みたいな歌詞を書いてみたかったんです。でも私のせいでハッピーエンドにしてあげなかったですね…かわいそうに…。

4.Seventeen!
今思えば、学校って凄い小さな世界だと思うんです。でも学生にとってみるとそこが全世界なわけで、その外の世界を知らないで、3年間ないし6年間、毎日をそこで生きて、そこで出会った人が、一生関わると信じているところがあるじゃないですか。「週3の移動教室 選択授業 嫌だな 離れてしまう 永遠50分」の歌詞がお気に入りです。授業中いつも指の隙間からずっと彼を見ているのに移動教室があると、それさえできなくなってしまう。たかだか50分なのに、それが永遠のように感じてしまうくらいの世界の小ささと想いの大きさが伝わると嬉しいです。でも肝心な事って夢でも言えないんですよね。

5.twilight ghost
『百花辞典』のためにおろした曲です。言いたいけど言えないようなこと、人間として生きていると多いじゃないですか。それがまさに出るのって恋愛だと思うんです。人の気持ちや歴史って努力ではどうにも出来ないですよね。主人公の女の子は彼と付き合って初めて彼の地元に降り立つんです。付き合って何度か彼の家の方に遊びにいくようになって、その街に馴れてくると、だんだん彼との生活の景色が見えてきて、「この公園で前付き合っていた人とデートしたことあるかな?」「それでいい雰囲気になって告白したりしたのかな」とか「このスーパーで、前の彼女と一緒に買い物して、ご飯作ってもらったりしたのかな?」とか…。「今、彼としていることが、彼の幸せな過去をなぞらえてるんじゃないか」って思っちゃうことが絶対にあると思うんですよ。そんなようなことって、人に言えないじゃないですか。それでも、彼は「大丈夫ちゃんと好きだよ」って言ってくれるんですけど、「大丈夫」って、「ちゃんと」ってどういう意味なの…。こういうことでもやもやしている人や、どうしようもない事で悩んでる人がうなずいてくれるといいなって思って書いた歌詞です。過去は未来を縛るくらい頑強なんですよね、良くも悪くも。

6.トモダチプレイ
『百色-momoiro-』で、「養殖女のレシピ」とどちらを収録するか最後まで悩んだ曲です。結果的に「養殖女のレシピ」を選んだのでその時点で、この曲は今回の『百花辞典』に収録することを決めていました。決して、「養殖女のレシピ」の代わりではなく百花辞典の選抜メンバーです。「トモダチプレイ」というタイトルには、かなりこだわりました。タイトルって名刺のようなものじゃないですか…、安易なタイトルにはしたくないし、かといって結末がわかっちゃうような直接的なことも言いたくないし、いろいろ迷いました、葛藤もありました、歌詞のストーリーも葛藤のある曲なんです。男の子目線の曲ってあんまり書かないですけど、なぜかこれはすんなり書けましたね。単語や表現がオトナな歌詞に取れるけどこういう事って実は人間の根源の感情だから、言うか言わないかってだけで、生まれてから死ぬまで持ってる感情ですよね。

7.プラネタリウム
私の歌詞をたくさんたくさん読み込んでくれている人は気が付いていると思うんですけど結構、天体とかお天気やお空が好きで、空や星が登場する歌詞が多いんですよ。この曲は、「プラネタリウム」にしちゃったから、全部と言っても過言ではないくらい、私の好きな描写が揃っているんです。特に、一番最初の「太陽に近くていいな」っていうところがもう出だしからお気に入りですね!ここで「隣の彼は背が高くてあったかい人で…」って云々言いたくなかったんですよ。歌詞を書いていく時の、伝えたい事をいかに伝えずに明確に伝えるか、視覚を文体で表すのって難しいけど楽しいですね。そういう描写を楽しんでいただけると嬉しいです。

8.vision
一番最初に作詞した作品です。だから「ねこのきもち」よりも前の詞です。私の初めての音楽は、先輩たちが組んでいたバンドに、途中からボーカルとして誘われて加入したところから始まりました。校内ライブとかでなくて、街のスタジオとかで練習して、都会のライブハウスで演奏するバンドだったので、そのバンドに入った時点で、「これは売れたな…」って思いあがってしまってました(笑)そんなときに、「オリジナル曲ができたから歌詞書いて」って言われて…。初めての大役でどうしようって思ったんですけど、先輩たちに「やっぱり後輩だしこんな程度」って思われたくなくて、いっぱい悩んで、何か月も練って…、初めてだから、何書いていいのかわからないし、気恥ずかしいし、そんなこんなで書いたナチュラルな私の思いですね。当時は、こう凝りたいとか、こう言ったらかっこいいとかみたいなのすら思い浮かばなかったですね。余裕がなくて前だけ見ている、それってもう真似できないパワーです。

9.神経衰弱
トランプする時、「神経衰弱」って口の癖で普通に言っているけど、よくよく考えると、神経が衰弱するって相当な言葉だなって思うんです。ずっといい言葉だなって思っていて、「神経衰弱」をタイトルで使いたいと思っていました。なのでこれは、タイトルが先行していて、詞があとから出来上がった曲なんです。ゲームのような感じで、神経がどんどんすり減っていくみたいな…、とはいえ、トランプなんて毎日毎日やるものではないから、それを日常的なもので比喩して使えないかなって思って。あらゆる人の日常に神経衰弱するものと重ねて聴いて欲しいですね。

10.具体的なソレ
1st.ミニアルバム『背中』にライブ版として収録しています。別アレンジで出すって、二番煎じと思われないか不安で収録するに当たって迷いましたね。でも、どうしても明確にこういう風にバンドでやりたいというアレンジがあったので、いつか収録したいなって思っていたんですよ。ファーストアルバムは、『背中』の2か月後にリリースしているので、すぐ出しちゃうと、なんか修正したみたいでいやだったので、間隔を空けようと思っていたんです。これも歌詞は上位を争うお気に入りぶりですね。「具体的なソレ」って、抽象的な「ソレ」を「具体的」っていう単語で指している、意味が分からないタイトルじゃないですか。まさにそういう『これぞ日本』みたいな歌詞なんですよ。日本人って抽象的だし、それを美徳としているじゃないですか、それを日本人同士でやるとぶつかることもなければ、好意を寄せられていてもそれにすら気がつかない。美徳としていることによって損をしている日本人がたくさんいると思うんです。自分が信じているものだけが正解ではない、だけど他人が提示しているものも正解ではないし、「正解じゃない正解」をよしとしていいのかという哲学的な話になってしまうんですけど…、つまりは世界って抽象的なもので溢れているよねっていうことを言いたかったんです。これを「抽象的」っていうタイトルにするよりぼんやりさせたかったので、逆に「具体的な」って言葉を使いました。「いつかを枕詞に」しているとそんないつかは現れてくれないと思ったので今回収録しました。

11.グロウ
若さって、間違いばっかりだけど、そのパワーは大人には真似できないし、大人の経験値は、いくら諭してみても子供の自分にはわからない。自分が可愛くて嫌な思いをしたくなくて、それが何が悪いの、自分を理解できるのは自分だけだよっていう歌詞です。若い頃の苦労は買ってでもしろっていうけど、売るほど苦労なんてしてきてるからもうほとほといらないし、逆に苦労なんて売りたいくらい、守りたい自分を大事にして何が悪いのって思うんです。この歌詞は、結果成長していく内容になっていますけど、苦労知らずで愚弄されるべき人間なんていないと思いますよ。パワー回復してもらえる曲だと嬉しいです。

12.スキすぎて☆拉致監禁
もともとアイドル時代に歌っていた曲です。執筆当時、「ツンデレ」とか「ヤンデレ」とか、2面性を持った女の子のアニメやマンガなどの作品が多かったですね。「萌え」とかが流行ったときです。だからそういうアニソンみたいな、時代に乗った歌詞を書いてみたいと思って書いた曲です。これは、アイドル当時、結構人気の曲だったので、私の中では「アイドル曲」っていう固定観念が生まれてしまって、「百山月花」になってから、収録するとは思ってなかったんですよ。でも「脱アイドル」を掲げて1年間やってきて、ふと思い返してみると、アイドル時代が無かったら、ファンの方があんなに応援してくれる姿をステージから見られなかったと思うんです。私が誰かのために音楽を提供しないといけないって思ったのは、やっぱりアイドル時代があったからだと思います。私の為でなく誰かの為に音楽活動をしたいなって思わせてくれた曲だから、活動名義は変わったけれど収録しないといけないなと思いました。2年目を迎えて客観的に自分を見ることができるようになって、ファンの方も見えるようになったタイミングで自分の意志で収録しました。

セカンドアルバムに関して詳しい説明、ありがとうございました。女優活動についても、近況を教えてください。

昨年6月に、『Let’s play a GAME』という舞台に出演させていただきました。主演はNMB48の松村芽久未さん、他キャストはハロプロ出身の大塚愛奈さんとか…そうそうたるメンバーの中に私がシングルキャストとして選ばれたんです。最初は単純に「大きい舞台のお仕事がきたなー」って印象でしたね。オファーを受けた時「女の子10人が集まってゲームをする」という内容を聞いていて、どんな女の子の役かなと思っていたら、なんとゲームのディーラー役。ルール説明は長文だし「第1問、お肌のゴールデンタイムと言われているのは何時から何時?」などのなんて事のない出題セリフばかりでどうやったら印象的な役になるかとすごく悩みました。台本に「こんな言い回しをして」とか「こんな表情で読んで」なんて指示があるわけもないので何通りも用意して見てもらって演出家の高瀬友規奈さんと毎日トライアンドエラーでした。最終的に行き着いたのが非人間でしたね。女の子達の中でいかに人間らしさを捨てるか、人間を辞めるか、気持ち悪く、生を感じさせないか、でも無感情じゃあつまらない。公演後のアンケートやネットのレビューで「ゲームよりディーラーが怖い」「あの黒スーツの司会者気持ち悪い」が褒め言葉でしたね(笑)。達成感はかなりありました。公演最終日、シーン毎に袖で出番待機している間、あんなに休憩も休日もなく毎日稽古したのに、もうこれで今のシーンのこのセリフは二度と言うことは無いんだと思って出番を一つずつ埋葬していくような気持ちでした。すごく寂しくて最終カーテンコールでは涙ぐんでしまいましたね。主題歌「starlight」や、劇中BGMなども私の楽曲を使って頂いて、役者と音楽をここでも両立できて稽古中の曲作りも大変でしたけどこんなに幸せなことはありませんでした。

最後に今年の目標をお願いします。

1年前と今と、どっちの自分になりたいかと聞かれたら、今の自分でありたいです。1年前よりは、絶対に1年間分、あるいはそれ以上の成長をしていると思っているし、去年よりお仕事をいただいていると思います。1年経ってみて今の自分が好きだし、きっと来年もずっと成長してるなって思っているはずです。でもやっぱりいつでも私は今の自分が好きなので、1年前の私が今の私を見ても今が一番脂が乗ってるなって思っているかもしれないです。だから今年こそは、過去の自分を屈服させたいですね。今年も曲をたくさん作ってサードアルバムに向けて産みの悩みに頭を抱える1年になると思います。できるできる、なんとかなる、っていう勢いだけじゃなく、どうしたらいいんだろうっていう年があってもいいんじゃないかと思っています。たくさんアイディアを捕獲して体力のある百山月花でいたいですね。これからもよろしくお願いします!

セカンドフルアルバム「百花辞典」お買い求めやその他詳しい情報は…
百山月花ホームページをご覧ください。
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