万里の長城のような大変な道のりでも先を見据えて歩いて行きたい 行万里さき

看護師の仕事をしながら、シンガーソングライターとして活動している行万里さき(いまりさき)です。数年前からオリジナル曲を作り、昨年11月には、初の主催ライブイベント『Cheers』の開催と同時に、初のCD『soup』も発表させていただきました。また、『看護師シンガーズ』という3人組のユニットで『ナースステーション』という自主企画イベントも開催しています。『行万里さき』という芸名には、目指すのは万里の長城のような大変な道のりかもしれないけれど、先を見据えて歩いて行きたいという前向きな気持ちが込められています。

看護師シンガーとして活動を始めたきっかけを教えてください

小さい頃から歌が好きで、家の中をステージにして歌っていたほどです。歌手になりたいという憧れはありましたが、それは夢でしかなかったように思います。中学生の頃、家族の病気や怪我が重なって、いろいろとお世話してくれる病院の看護師さんを見て素晴らしいお仕事だと思っていました。そんなときに私の祖父が亡くなり、結局最期は自宅で看取ったんですが、私自身は何もできなかったという気持ちがとても強く残ってしまって。その悔しさがきっかけで、幅広い知識と技術をもった看護師になって、辛い想いをしている患者さんや家族を少しでも支えられるようになろうと決意しました。


大学を卒業してからは大学病院で働いていました。当時はこのまま看護師として働いていくつもりで音楽をやることは考えていなかったのですが、看護師3年目のときに、趣味の範囲でボイストレーニングや歌のレッスンに通い始めました。最初は「カラオケが今より上手くなれたらいいな」くらいの気持ちでしたが、習っているうちに、もっと本気で取り組みたいという気持ちがどんどん強くなっていきました。その頃は、病棟で担当していた患者さんから「この歌に支えられた」などのお話を伺うたびに、歌って凄いなって感じさせられていましたし、仕事柄いろんな方の人生について考えることが多く、やりたい気持ちを抑えてしまって悔いの残る生き方はしたくないという気持ちが強かったのだと思います。

悩んだ末に、思い切って歌の世界に飛び込むため、4年間務めた病院を退職し、全日制の学校に通うことにしたんです。現在は訪問看護師の仕事をしながら『看護師シンガー』として活動しています。

どんな歌手になりたかったのですか

はい、自分でオリジナル曲を作って弾き語りで歌うことに凄く憧れていたんです。全日制の学校に通おうと思ったのも、自分の曲を作りたいなと思ったところからでした。私は、自分の気持ちを伝えるのが苦手で、つい我慢してしまったり、飲み込んでしまうことが多かったので、そういう感情を歌として表現できればいいなって思っていました。世の中には、私みたいに自分の気持ちを伝えることが苦手な方って多いと思うので、そういう方たちに共感してもらえると嬉しいです。

あともうひとつ、やっぱり看護師としていろんな方の人生の局面に関わらせていただいてきた経験は私にとってとても大きな財産になっているので、それらを今の私の言葉を通して伝えられたら、と思っています。

ギターはいつから始めたのですか

ギターは、大学時代に買ったものですが、当時は学業が忙しかったり、押さえられないコードがあったりで途中で挫折してしまいました。それからずっとやっていなかったのですが、本格的に音楽を始めようと思ってから練習を再開して、今はライブでオリジナル曲を弾き語りで披露しています。まだ失敗してしまうことも多いのですが、「このライブに向けてここまでできるようにしよう」とか、目標をもって取り組むようにしています。自分でも器用なタイプでないことは分かっているので(笑)、これからもめげずに練習を頑張ろうと思っています。

ライブ活動について教えてください

音楽の学校に通っていた頃は、学校主催のライブにたびたび出演していました。その頃はお客さんも学校関係の方が多かったので、緊張はしていたもののやはりあたたかい雰囲気でした。当時はまだオリジナル曲を作り始めた頃でしたので、カバー曲が中心でした。

一般のライブに出るようになったのは、音楽の学校を卒業してからです。Twitterを通じて、ライブを主催する方から声を掛けられたんです。ちょうど、これからいろんなライブに出ていきたいと思っていたところだったので、喜んで出演させていただきました。その時はCoccoさんの曲などを歌ったのですが、自分の気持ちを歌で表現したい、弾き語りでオリジナル曲を歌いたいという理想の形にはほど遠く、反省ばかりでした。それでも、たくさんのライブに出演させていただいているうちに、最近では、少しづつですが自分の形が出来上がり始めてきたように思います。

昨年発表したCD『soup』について教えてください

はい、昨年11月からライブでの手売り限定で販売させていただいています。オリジナル曲が3曲収録されているので、簡単に曲の紹介をさせてください。

1曲目は、CDのタイトルにもなっている『soup』です。この曲は、私自身が最初に発表した曲なのですが、私にしては珍しく恋愛の曲です。幸せな時間もあったけど、だんだん2人の気持ちが離れていってしまって…、それでもいつかはそれを受け入れていくという、明るい曲調からは想像しにくい意外な展開になっています。


2曲目は、『これから』です。看護師をしていると、大事な家族や友人が亡くなるという場面に遭遇することが少なくありません。それが私の立場だったらどうなんだろうという想いから作ったバラード曲です。

3曲目は、『君のエール』です。先日、『エンタメ女子』でも紹介されたNAMIちゃんが曲を、私が詩を書いた共作です。私とNAMIちゃんは誕生日が1日違いで、昨年バースデイオフ会を開催した際に、いつも応援してくださる方やお世話になっている方たちに向けて、感謝の気持ちを伝えたくて作った曲です。

曲作りについて教えてください

はい、先ほどお話ししたCDの収録曲を含め、今までに9曲ほど作曲しています。この気持ちを忘れたくないな、って感じた時に、なるべく頭を柔らかくして作るようにしていると、思っていたほどには難しく感じませんでした。

初めて作った曲は、タイトルも決めてないし、ちょっと恥ずかしくて発表していないのですが、自分の祖母が亡くなった時のことを思って作ったものです。CDには収録されていませんが、他にも何曲かオリジナル曲があります。詩や曲は直接的にも間接的にも看護師の経験や影響を結構受けていると思います。それもあって、人の生死についての曲が多くなっています。

今後は、時間が経つと忘れていってしまうような気持ち、例えば、悔しい気持ちとか悲しい気持ちなどを歌にしてみたいです。そして、もう少し曲がたまってきたら、またCDを出したいなとも考えています。

看護師シンガーズというユニットでも活動しているそうですね

はい、看護師のKAERIさん、涼太さんと私の3人で『看護師シンガーズ』というユニットを組んでいます。私とKAERIさんはもともと職場が同じでそこからの仲なのですが、ある日、2人で路上ライブをしていた時に、たまたま同じ場所で路上ライブをやっていた涼太さんと知り合ったのです。その涼太さんが、まさかの看護師で、偶然ってあるものだなと思いました。


その後は3人で、毎回何かしらのテーマを決めて、音楽や体験を通しながら病気や医療を身近に感じてもらうためのイベントを企画・開催しています。最初のテーマは『BLS(一次救命処置)』で、人体の模型を借りてきて、お客さんにも心臓マッサージの体験をしていただき、もし目の前で誰かが倒れたら何ができるか、シミュレーションしていただきました。その次は『認知症』というテーマで、認知症の方役と家族の方役に分かれてコミュニケーションをとってもらい、お互いがどんな気持ちになるか想像していきました。この『ナースステーション』というイベントでは、毎回、各テーマに合わせて作った3人の共作ソングも発表しており、看護師シンガーだからこそできるイベントだといえると思います。

今月2月25日(日)も表参道の『NOSE art garage』で開催予定で、今度のテーマは『糖尿病』です。糖尿病に興味のある皆さま、ご予約お待ちしております。

最後に、今後の活動についてお話しください

私は秋田県横手市の出身ですが、いずれは地元に何かしら貢献できるようになりたいです。
同郷の有名人には、メジャーデビューしているシンガーソングライターの高橋優さんがいますが、私はすごく尊敬もしているし、音楽の影響も受けています。秋田は過疎化が進んでいるという暗い現実もありますが、高橋優さんは有名になってからも地元でフェスを行っており、地域の活性化に貢献されています。まだ先の話ですが、私もいつかは大好きな故郷のために恩返しができたらなと思っています。

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